限界集落の旅-兵庫県篠山市編(4)大芋(おくも)リタイヤ後のほどよい農業の仕方-
前回の続き:先人たちの知恵を拝聴するため兵庫県篠山市の後川(しつかわ)でブルドーザーのような男性に人生の何たるかを教えていただいた。続いて篠山市の大芋(おくも)を訪れた。
▼前回の記事▼
毎回のことだが今回も戻しそうな程、緊張しながら大芋に訪れた。
「先人の知恵を聞かせてください」だなんて我ながらに不審者だと思う。
課題の為に田舎の人にインタビューする学生さんや飛び込み営業の人やYOUTUBERの皆さん本当にすごく偉いなぁと思いながら運転していると、ついつい赤信号を無視しそうになってしまい危ない。
なんやかんやで到着した。
大芋という地域は村おこしのため大量のカカシが設置されている。
全て村人が作った物である。しかも1人1体作るというわけではなく、1人で4体も5体も作るのである。もっというと集落の人たちがめちゃくちゃ一生懸命つくっているのだろう、おそらく作り手の魂の一部が練り込まれているのだと思うほど恐ろしく存在感がある。
カカシのある風景
監視役のカカシは現地で見ると本当に人が見ているように思えて慣れるまで怖い。
風景
カカシの集まりを集落の人たちと間違えるお約束をこなしつつ、改めて、畑で作業をしているヒトに話しかけようと近づいてみた。
が、畑までの道が川で分断されていてどこから近づいて良いものやらわからなかった。
僕が小学生くらいのときにファミコンでドラゴンクエストに興じていたときに、目の前に見えている場所にどうやってもいけない感じあったなぁと思い出しながら迷った。
迂回するようにぐるりと回り込んで、ようやくたどり着いた。
黒豆畑で作業している77歳の男性に「畑を見学させてください...」と話しかけてみた。
どうやったら不審がられずに話しかけることができるのか模索していた。
幸いなことに「いいいですよ」と言っていただけたためちょっと畑に入り話しを話しを伺った。
Uターン組10年目(77歳男性)
「年金もらって農作業。ちょっと力の入った趣味ですねん」
ご主人は10年前まで街中で会社勤めをされていたUターン組。
なぜ地方に戻ってこられたか聞くと「親父が死んで畑ほっとかれませんやろ。私、長男ですし」と語る。サラリーマンから農業を行うのに苦労は無かったですかと聞くと、会社勤めをしていたときから週1回は実家に戻ってきていたので見よう見まねでできたらしい。目で学ぶというのは大事だ。
「雨が降ったら休む、晴耕雨読や。ははははは!」
無理なく農業をやっておられるようで、定年退職後の農業の距離感としては最適ではなかろうか。また畑を続けようとしている20代前半のお孫さんの指導も行っておられるそうだ。
農業に関する格言
「体の弱いやつほどおいしい」
ご主人は黒豆の他にコシヒカリを作っている。
コシヒカリはかなり弱いらしく風ですぐに倒れてしまう。
でも、それがいいらしい。
「かわいがりすぎるとひっくり返るからほったらかしにしますのや」
そして、甘やかしすぎない。
大芋では来年(この時点で2018年)3月の14日頃に手作り市が行われるため、その頃にまた来るといいと教えていただいた。
次回(2018年3月)大芋に訪問した際に良い出会いがあることをこのときは知る由もなかった。
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集落巡りのYOUTUBEもやってます。