限界集落の旅-静岡県の道の駅で本格的に車中泊をした話-
ホンダのアクティ(車中泊仕様)での寝心地は如何なものか…?
『車中泊を快適に行いたい』
2019年になってまた限界集落の旅に出発した。
今回は限界集落巡りだけでなく『車中泊の快適化』を行った(ビジネスっぽい)。
というのも最近、Youtubeで漫喫宿泊や車中泊の動画を見て、自分もロマンのある、オトナの隠れ家的な、秘密基地的な、車中泊をしたくなったからだ。
これまでも、毛布などを持ち込み、車内で寝た経験はあったけど、寝袋やポータブル電源、調理器具など、『車中泊3種の神器(?)』を持ち込み、調理を楽しみ、快眠し、ノートパソコンでノマドにワーキングしたことはなかった。いつも眠るときには、鉄の車体からの伝わってくる、冬の厳しい冷気や夏のいやらしいの暑さを、座布団みたいな敷布団で遮り、胎児のように丸めた体を車体に納めていたため、起きるとぐったりとしていた。夜間にフル稼働していただろう体温の調節機能が一日の始まりの時点で悲鳴を上げていたに違いなかった。
「もっと車って可能性に満ちているんじゃないだろうか」
自動運転や低燃費化とは全く違う、漠然としたロマンという意味での車の在り方を、寝不足でぼんやりした頭の中で問うたとき、せっかく軽バンに毛布を載せて旅をしているのだから、もう少し手を加えて快適に過ごせるようになりたい。そんな欲がでてきた。人生は楽しまなくてはいけない。そして人を大事にするためには自分も大事にできないといけない。これは旅の中で学んだことだった(どのタイミングかな)。
アクティをいつでも帰ってこられる第2の故郷、いや第2.5程度の故郷にしようと思ったときに一気に弾けた。そんなわけでいつも乗っているホンダのアクティを車中泊仕様に改造した。
▼アクティを車中泊仕様にする動画▼
▼アクティ改造の流れ(ブログ版)▼
【シェードづくり】
まず窓を覆ってくれる目線隠しを作ります。車内のプライバシーを守る他、窓から伝わる日光や冷気による車内の温度変化を抑えてくれる役割があります。
窓枠の形に切り取った型紙を使ってアルミ製のレジャーマットを切り取ります。
【床の断熱】
レジャーシートのあまりを車の底面に貼り鉄の車体から伝わる熱や寒さを遮ります。
シートの切れ端を集めて貼り合わせたから雑味あり。
【持ち込んだその他装備】
・寝袋
2℃くらいまでが適正使用温度とのこと。店の人に2℃を下回ったらどうなるか聞いたところ「気温の感じ方や着こみ方で変わってきますから、それ次第で耐えられないわけではないと思います」と返答あり。気持ちの問題が大きいそうです。
・ポータブル電源
これさえあれば、携帯電話の充電や家電製品の使用が可能。料理したり、暑い日には扇風機を回せて、寒い日には電気毛布で眠れる。別売りで充電用ソーラーパネルもある。ソーラーパネルで走る『ソラえもん号』を観た世代としてはなかなか心躍るアイテムである。
▼ソラえもん号▼
・布団類(マットレス・簡易敷布団・毛布)
このアクティの後部座席は倒してもフラットにはならず、10センチくらいの段差ができる。マットレスや毛布でこの段差を埋める作戦だが、それでも埋まりきらないので今後、何か快適な物を埋めようと思います。
・食料貯蔵庫
口を糊するわずかな食糧が入ってる。ある程度、ジャンクで、粗悪で、侘しいほどに趣があってよいと思っている。
・調理器具
水を沸騰させる機械。知り合いの家の引っ越しを手伝ったときに貰ったもの。ボディの色が元々なのか変色したのかクリーム色をしているくらい古い物のため正常に作動するかわからないけれども、お湯を沸かせれば何かしら調理ができる。
・机
車内に積んだノーマルタイヤ(現在車はスタッドレスタイヤを履いている)の上に段ボールを載せれば机の完成。ここにパソコンを載せて仕事もできる。段ボール箱を机替わりにしてハングリーな精神を堪能できる。
車中泊へ出発
今回の旅の経路
東京発→静岡(車中泊)→滋賀県(キシダハウスの新年会)→岐阜県の根尾周辺
川根温泉にて、男同士の無言の会話
東京から高速道路を使って約3時間半。川根温泉に到着。
温泉は21時閉店だが、受付締め切りは20時30分。
現在20時20分。焦りながら受付を済ませ温泉に入る。
内風呂が4つ、露天風呂が3つ(だったと思う)の造りでどれも浴槽の形に品があって良い。また、肌がスベスベする良質なお湯加減が気持ちよい。肌を柔らかく包む、少しのとろみと、すっきりとしたお湯の質感で肌に負担も少なく(個人的に)安心して入れる。
▼詳しい泉質▼
泉質は塩化物イオンを多量に含む「ナトリウム塩化物温泉」に分類され、温まりやすく、入浴後も塩の微細な結晶が汗腺を防ぐため湯冷めしにくいため、別名「熱の湯」とも言われています。また、高張性の温泉に部類されるため、温泉の成分が身体に浸透しやすく、高い薬理効果を期待することができ、その泉質の良さから県内外から多くの利用者が訪れています。温泉を調査した結果では、約2万年前の地下水と古海水が混じり合っている可能性があり、太古の恵みとして貴重な温泉であることも判っています。
泉質ナトリウム塩化物温泉(高張性弱アルカリ性高温泉)
※ホームページより抜粋
入浴客のほとんどが地元の人らしく、各々に今日の出来事や家族や仲間のことなどを、とぎれとぎれの会話をしていた。
僕はまず、石造りの四角い一番ベーシックな内風呂に入った。
浴槽に背中をあずける姿勢で、あぁ…、と心で息をついた。
僕が湯船に浸かっていると、地元客と思しき人が湯船に浸かり僕と1メートルくらいの距離を置いて腰を下ろした。 そして、僕の方を見ながら口を筒状に尖らせながら「お、ニイちゃん、どこかで見たね」と言いたげな顔をして、もう、声も喉チンコまで出てきていてそうなのに、そっぽを向いて僕の左斜め前に座っていた知り合いと思しき人に話しかけた。30秒くらい話てまた僕の方を向いて、また口を尖らせた。ひょっとこの化身にでも会ったのかと思って、僕も「なんでしょうか?」といった表情をした(声を出さなかった理由は、この日は風呂屋のお客さんに話す気になれなかったからだ)。
話しかけてくるのかなと思ったら、そのお客さんは今度は僕の右斜め前にいる、これまた知り合いに話しかけた。そしてまた30秒ほど談笑して、三度、僕の方を向いて、ひょっとこのモノマネをし始めた。これがあと2回続いてそのお客さんは、熱くなってきたから出るわ、といって出て行った。脇を甘くこちょばされたような、煮え切らない行動だった。意味もなく、僕が何かしたんやろか…、と思って少し申し訳ない気分になった。
多分、僕がこのお客さんの知り合いの間に、三角形の頂点の位置関係で座っていたから、「知り合いにこんな人いたっけ?」と思ったのかもしれない。静岡の人は顔見知らぬ人がいてもとりあえず、唇を尖らせて興味をもってくださるといったところだろうか。ネットで静岡県民の特徴を簡単に調べたところ『東部は自己主張が強く、中部は優柔不断、西部は行動力がある』と書いてあった。川根温泉はやや西武寄りにあるから『行動力』と『優柔不断』の間をとって、こんな気分だったのではないか。
「お、知ってるような知らんニイちゃんがいるゾ(ひょっとこ顔)。話しかけよ…いや、やっぱり止めよう…(別の人と話す)。しかし俺が話しててもこのニイちゃん会話に参加しない…(ひょっとこ顔)。やっぱり話しかけてみるか…いや、やっぱりやめよう(別の人と話す)」
▼静岡県▼
他にも、ねじり鉢巻きの様に頭にタオルを巻いたお客さんが2名いたことも印象に残った。頭にタオルを置くのではなく、巻くスタイル。清水の次郎長スタイルだろうか(ちびまる子ちゃんの知識しかない)。10人ぐらいの入浴客がいた中で2人のねじり鉢巻きスタイルはかなり多い。そんな印象深い体験をして、風呂を出た。
車中泊開始<食事の準備をする>
車に戻り、手づくりシェードを窓に張り付けて、夕食の準備を始めた。
今日の献立はカップラーメン。夢やロマンある献立は先の話。ただ、お湯を沸かすだけの簡単な食事にした。
知り合いのつてで引っ越しの手伝いをしてもらった携帯式湯沸かし器を使って湯を温める。コの字型の器具の先に付いた4センチ程の棒を液体に差し込んで、湯沸かし器のスイッチを押すと発熱部分から徐々に液体が温まる仕組みである。ポータブル電源に湯沸かし器のコンセントを差し込んで、発熱部をマグカップに注いだ水に漬けて湯沸かし器のスイッチを押す。これがなかなか安定して熱してくれない。さすがは半分ジャンク品。なんとかお湯を温めてカップ麺にお湯を注ぐ(お約束の様に段ボールにお湯をこぼしてしまった)。
完成。
ちゃんとカップ麺の味がする!成功。
もう疲れてしまったので食後とくに何もせずに寝る。
就寝時間0時。気温1℃。寝袋の中はまだまだ快適。
午前3時起床。気温0℃。寒い。そして、東京に忘れ物をしたのを思い出した。本当ならこのまま朝まで過ごして滋賀県に行く予定だったが、その前に東京に戻らないといけなくなってしまった。
寒くて起きてしまったり、忘れ物をして車中泊を断念してしまったり、今回の車中泊は失敗。4時間くらいかけて東京に逆戻り!
次回:車中泊失敗から滋賀県の廃墟『土倉鉱山』で立ち往生している人に会う
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