限界集落の旅『栃木県日光市中三依』-自治会長さんの格言『勉強=勉学ではない』から語感の違いについて-
【前回の記事】栃木県塩谷町の『道の駅 湧水の郷しおや』で車中泊をした。
▼目次▼
車中泊での試み
『道の駅 湧き水の郷しおや』で車中泊をする前日『道の駅 日光』で車中泊をして、そのとき頭を乗せているマットレスが沈み、頭が下がり、頭が血に上った朝方、頭痛で目を覚ました(下図参照)。この経験を踏まえ地面がやや傾いていると思う場所に駐車し、できるだけ頭を高い位置に置いた。
しかし、起きると疲労感。頭痛と熱さが相まって、不愉快極まりない朝を迎えた。
車中泊は難しい。決して快適とはいえないが、創意工夫の楽しさに加え、隠れ家的な男のロマンと高揚感でおつりがくるのが良いところだと思っているのだけれども(最近の私の意識)、この寝起きの辛さだと大赤字である(持病のアトピーも悪化するし)。このときから車中泊に苦手意識が芽生えて、きちんと車内を改装しようと行動するまで数か月の時間を要した。
取り合えず、自治会長さんに『人生の何たるか』を聴きに行った。
自治会長さんのお宅は、あらかじめ集落の人に聞き込みをして教えてもらっていたため、あっさりと見つかった。しかし家の中には誰もおらず、これは自治会長さんに会うなという神のお告げかと思った。どうしようかと思っていたが、2分もすると自治会長さんのお宅に車が一台停まり、車内からお婆さんが出てきた。これはもしやと思い、お婆さんに話しかけると、この方、自治会長さんのお母さんである。このタイミングで自治会長さんのお母さんに会うなんて、神が自治会長さんに会えというお告げに違いない。一回、落としてから上げるだなんて、ややこしいな神のお告げ。
僕がお母さんに旅の経緯を話すと、121号線をまっすぐに北上した先の丁字路を左折した先の右手にある『松や食堂』にいらっしゃるとのこと。
わざわざ連絡を取ってもらい、話をつけていただいた。限界集落で人を訪ねると集落の人で連携をとって合わせてもらったりすると、自分の日々の生活に人に喜んでもらえる仕掛けを盛り込みたくなる。
『松や食堂』で自治会長さんの格言を聴く
あらかじめ連絡を入れておいたため店に着くと自治会長さんには話がすんなりと伝わった。お腹がとても減っていた僕は盛りそばを注文した。1.5人前くらいのボリューミーな蕎麦が出てきた。凄い量ですね、というと、お客には近所の人も多いからサービスしてたらこの量になっちゃった、という。麺は太目、味はしょうゆベースの蕎麦つゆが印象的だった。出汁文化の関西で育ったため、この味は新鮮だった。価格は500か600円くらいだった(緊張のためそこまで記録できず)。手打ち蕎麦でこの量は街中ではなかなかお目にかかれないお得ボリューム。
名物の『いぶり豆腐』は豆腐の燻製。桜の木でいぶした豆腐はチーズのような食感で、お酒のおつまみにちょうど良い。また『岩固(がんこ)豆腐』というガチガチ食感の豆腐もあり、醤油をかけて崩しながら食べると醤油が豆腐の内にしみこみ、豆腐の風味と相まって、おかずにもおつまみとしても旨い。
「本を読むのは良いぞ~。自分の知らないことを疑似体験できる。この疑似体験は未来の判断になる。初めは漫画でもいい」
学生時代に運動に励んでいた自治会長さんはケガをきっかけに入院生活に入り、物足りない日々を埋めるため本を読んだ。すると書籍で行う疑似体験は会長の人生に深みと楽しみ方と少し未来を教えた。最近では『君たちはどう生きるのか』や文豪の漫画版も豊富でかなり本を読む敷居が下がって格式そのまま。良い時代になったと思われる。
自治会長さんお勧めの書籍
『20歳の原点』高野悦子著
20代がいかに未熟かということを教えてくれるという…(読んでみようと思いながらまだ未読)。
「あれ面白いね。バスケットを知らなかったけど、スラムダンクがきっかけでインターハイを観に行っちゃった」自治会長さんが本を読み始めるのは漫画からでもいいと思えた作品。
「『勉強=勉学』ではない。全てが勉強。音楽聴くのもね」
勉強することで得られるメリット(1)自分の核が大きくなり人生の選択肢が増える。(2)自分の考えに基づき、自分の伝えたいことが表現できるようになる。とのこと。
勉強と勉学の違いは何ぞやを手元の資料で調べてみた↓
【勉強/勉学の意味(辞書別)】
■現代国語例会辞典【第五版】小学館より引用
【べん-きょう 勉強】(1)将来のために学問や技術などを学ぶこと。特に学校の各教科や、実用的な知識、技術を習い覚えること。(2)将来のためになる経験をすること。(3)商品を値引きして安く売ること。
【べん-がく 勉学】学問に努め励むこと。勉強。
【べんきょう 勉強】(そうすることに抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れること)(1)物事についての知識や見識を深めたり特定の資格を取得したりするために、今まで持っていなかった学力・能力や技術を身につけること。(2)そのときは後悔したりそうしなければよかったと思ったりしても、将来の大成・飛躍のためにはプラスとなった経験。
【べんがく 勉学】特定の目標に向かって勉強すること。
■日本語 語感の辞典【岩波書店より引用
【べんきょう 勉強】講義を受けたり学術的な文献に目を通したりして知識や技術を学び取る意で、くだけた会話から文章まで幅広く使われる日常の基本的な漢語。生徒の学習だけでなく、大人になって真面目な本を読んだり、学者が研究書を読んだりするのも、社会で実地に経験を積むのも、広く含まれる。学校で教わる「学習」に比べ、自分の意志で学び取るという部分が多くなる。
【べんがく 勉学】掲載なし
【べんきやう 勉强】骨折リテ勉ムルコト。出精。
※『出精』精ヲダスコト。勤メ勵(はげ)ムコト。
【べんがく 勉学】掲載なし
『勉強』は生きるための実践的な学びで勉学は専門的な内容を突き詰める意味の印象が強い。そして、『言海先生』のストイックなこと。孫正義の様である。
▼孫正義のストイックなところ▼
「先に謝る(認めると楽になる)→前に進むしかない→次につながる」
言い訳すると、言い訳の言い訳が必要になりしんどい。
「『政』は“祭り”と“政治”」
政治と祭りの類似性の話。使命感や義務感では長続きしないし、楽しいところじゃないと人は集まらないが、楽しいと思えれば、恥部や弱いところを補い協力できる。祭りごとってそう。
「会議は伏魔殿。会議をすると『話をしたという』逃げ道ができる」
何かしらの改革をしないといけないときでも一度作ったものを変えるのはともて難しいため、会議をしてもどうにもできない。この考え方から行くと会議を悪用することもできそうである。
「良いものを作るための会議。意見を否定されると自分を否定されたような気になるけど…違うぞ」
「足で稼がなきゃ、いつまでも机上の空論」
上司の目を気にしながら良い仕事はできない。ただ、上司は部下に『見回れ』と助言できる。
「一生にできる友達は一人いればいいぞ」
Facebookやインスタグラムは友達じゃなくて、過剰な数字でしかないよ。個人的にはSNSで過剰に過剰に求めるときは友達というよりもビジネスでの収益を求める時だと感じるので、友達よというよりマネーな気がする。
▼一人でも理解者がいれば救われる話▼
自治会長さんにお話を伺った後、中三依集落に自給自足をしている家族がいることを教えてもらい、そのお宅に行ってみることにした。
『松や食堂』までの121号線を引き返し、教えて貰ったお宅に向かう。
途中、右折して川沿いの道を進む。鮎釣りが解禁される時期だったため川には数名の釣り人がいた。中三依は鮎釣りの名所である。川幅が狭かったり水温が低い等の理由から、鮎が通常のサイズよりも小ぶりなのが特徴だと聞いた。この辺りは渓流釣りの名所だが、まだ自分は釣りに興味は持てないかなと思っているうちに、自給自足をしているお宅にたどり着いた。
次回:栃木県日光市中三依で自給自足の研究で人類の可能性を探る人の格言を聴く。
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