限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-東京都西多摩郡檜原村の居酒屋さんで酔っ払いに絡まれた話(2)-

東京都西多摩郡の『檜原村』にある居酒屋さんで酔っ払ったオヤジ様に絡まれて、熱い人生論を説いていただいた。今回はお店の中で比較的に酔いが浅い方が語った人生論をまとめてみました。

▼酔っ払いの熱い人生論▼

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僕が村の人達から人生経験や知恵を聞いて回っているのがわかると、居酒屋で気持ちよく飲んでいた村のエライさんたちは、皆バツが悪そうに静まり返ってしまった。そりゃそうだろうな、と思いながら、そんなたいそうに考えてもらうようなことではなくですね…、とまごまごしながら、イラン事してしまったかな、とせっかくの呑みの場に邪魔してしまった申し訳なさに嫌な汗をかいた。
とはいえ、お酒の力もあってか、何人かの人がふざけながら僕に色々話してくれた。

 

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酔っ払い人生論

「俺たちは宇宙のチリから生まれた兄弟さ!争う必要あんめぇ」
ピースフルなメッセージを説いた、オヤジさんに続いて、元チェッカーズみたいな雰囲気の落ち着いた男性(50代)が夫婦の関係について次のように語ってくださった。

 

-健全な夫婦の関係を続けるにはどうすればいいですか?-
「あなた(奥さん)に対してありがとうをもとめなければ、喧嘩にならない。そのためにはお互い苦労して相手の気持ちを考えあわないとわからない」
お互い相手に多くを求めなければいいという考え方らしい。こういう考え方を聞いて実際の夫婦はどう感じるんだろうかと、独身の僕は思った。そして元チェッカーズ風オヤジはこう続けた。

「不満をその日のうちに解決しないからバクハツする。何かあったらすぐに言えばいい。だから、家は深夜でも夫婦ゲンカする」
さっき喧嘩にならないと言っていたが、一応、喧嘩はするらしい。物凄く冷静に、さっきまでと違う意見が出たので、もしやこういう意見の食い違いは喧嘩のもとになるんじゃないのだろうか。


チェッカーズ風のオヤジさんに続いて、愛嬌のある53歳のオヤジさんが吠えた。
-会社とはなんぞや?-
「従業員が給料上げろってのを、社長も一緒になって考えるのが会社ってもんだ!」
「ブラボー」「良いこと言うじゃねぇか!」
周りのお客が、愛嬌のあるオヤジをはやし立てる。
「だろ?」
オヤジは得意になってしたり顔をしていた。

そして逆に愛嬌のあるオヤジさんからこんな質問が出た。
「今の若い人は何を基本に生きてるんだ?俺たちは衣食住を基本に生きてきた。その余りでたまに呑みに行く」
何とも言えない。今でもその基準を背骨にして人は生きているのだろうと思うけれども、何となく『何考えてるかわからない』雰囲気はなんなのだろうか。自分も自分が何を考えているのか、何を欲しているのかよくわからないし、ただボンヤリと安静にしながら時間を過ごしているのが心地よくて、そういう時にこそ、あぁ生きているなぁ、と思ったりする。「クラゲの様に漂って生きてるみたいですね」どうしたいんですかと、ずっと前に言われたことがあるがその時も、なんでそれではいけないんですか、水族館でふわふわしているクラゲに意味を求めるんですかと思ったりした(思っただけで言えない)。ただ、自分の周りの同世代で、自分の人生はこれだと思いこんで仕事や休暇や恋に打ち込んだり、特に目標は無いけれども自分の居場所を求めて前向きに転職をしようとしている人はかなり多い。わかりにくいかもしれないけれども皆、頑張っているのは間違いない。便利な時代になり、当たり前に物が手に入るようになって、目標はわりかし手短に達成できるから、若い世代にとっての『生きるための骨子』となる部分が人生の先輩達からしたらわかりにくくなっているんだろうかなと思った。


「今の若い人は昔の人の1年を10年かかる」
チェッカーズ風オヤジさんが今の若い人を接した感覚をいうと、別のオヤジさんが反応して『いや、20年だ』と返す。「20年か…」とチェッカーズ風のオヤジさん。実際に20年かかるとは思わないが、根性や忍耐は今の50~60代の20分の1くらいなのかもしれない。
「今の若い世代は怒るとすぐに辞めちゃう。これからの自治会を存続させるためには!若い世代に押し付けはできない」
という声も上がった。しかし、昔に育っただから今の若いもんが目に余る、というわけではなく、ここに集まった50~60代のオヤジさん達も若い頃、さらに上の世代から『許されてきた世代』だと語る。
「"何でこんな事もできねぇんだ!"って怒られて、ぶん殴られて…それでも先代たちから"今の若いモンはしかたねぇな…"って許してもらいながら育ったのが俺たち。だから日本文化の継承とかっていうのが、違うんじゃねぇかって思う。
時代が変わった。大人たちが変わらないといけない」
時代が進み、昔の10年を1年かもっと短いスピードでできるようになっているはずで、20年かかるというのは、何かを習得したり造り上げるということでなく、何か精神的なことを言っているようだった。そして、そう言う50~60代たちも上の世代の感性を受け損ねて今まで生きてきた。だから上の世代も下の世代も互いに分かり合おうとする必要があるんだろうなと思った。


隣にいた74歳の爺さんにも声をかけたが、あまり話したくないらしく、爺さんの隣にいた別のオヤジさんに向かって「おい、早く食わないと、カレーが伸びちまうぞ」とか言い始めた。アルコールのせいかボケが粗い。

 

この居酒屋での飲み会には集まる理由ごとにいくつものグループがあるという(今でいうところのライングループみたいなものをアナログでやっている)。ただ、居酒屋に来るメンバーが決まっておるから、どのグループも似たようなメンバーになってしまい、代り映えしないらしい。といっても、とりあえず呑むための口実のグループだから別に被っててもいいと、愛嬌のある笑顔でゲラゲラ笑うオヤジさんにお客の内情を教えてもらった。

しばらく話して、居酒屋の会はお開きになり、僕も帰った。

 

次回:うっかり埼玉の心霊スポットにいってしまった。

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