限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

トリッキーな獣害-サル編まとめ-

限界集落の旅で、どこを訪れても獣害の話を聞く。

たいていは『鹿』『猪』『猿』『熊』などがメインである(他にも『猫』とか『ハクビシン』『テン』等)。旅の途中に聴いたトリッキーな獣害(猿)をまとめてみた。

 

 

猿の獣害

「猿対策だけはどうにもならない」

住人が嘆く通り、猿は獣害をもたらす動物の中でも一番対処が難しいらしい。どれだけ畑に囲いを設置しても、飛び越えたり、地面を掘ったり、扉を開けて堂々と入って大根を小脇に2足歩行で退室したりで、完全に防ぐことは困難だという。電流入りの有刺鉄線を使っても入ってくるとのこと。また、猟銃を持った人が山に入ろうもんなら、その脅威は一瞬にして群れの中に広まり、ヒトの前から姿を消すため撃つこともできない。

こちらにサルの姿が見えなくても、どこからかサルはこちらを見ている。

 

猿の技『岩落とし』

猿を撃った経験のないヒトが猟銃を持たないうちに山に入ると『岩落とし』の刑を処されるという。

「猟銃を持ってなかった頃は、ホント猿にいじめられたよ~」と語るのは栃木県の狩猟家の男性。猿が小さい岩を転がし、その岩が少し大きい岩にぶつかるのを繰り返して、猟師の元には大きめの岩が落ちてくるという具合で、こんな感じらしい↓

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猿の岩落とし(図1)

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猿の岩落とし(図2)

しかし、一匹でもサルを撃った経験があれば、そのヒトは猿の間でヤバイ人として認定され、近づかれなくなるらしい。

 

猿の技『まかれる』

「猿にまかれた」という言葉があるらしい。

滋賀県の湖北は長浜市の杉野という地域で聞いた話。

昔むかし、村人が山に入りしばらく作業をしていると妙な違和感に襲われることがあったそうな。音もしないが何か妙な気配がする。

「妙だな。変だな」と気づいたときには自分を中心に数十匹の猿。

猿は村人を囲みじりじりと音もなく群れの円を狭めてくる。

このように円陣を組みながら迫られることを『猿にまかれる』というらしい。

めちゃくちゃ怖い。おそらくこんな感じだろう↓

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猿にまかれる(図1)

 

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猿にまかれる(図2)

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猿にまかれる(図3)


猿の嫌がらせ

畑で育てたカボチャの中から美味しいものだけを選んで食べる。住民は、やられた…と思って、中身を食いつくされたカボチャの皮に近付くと何かがおかしい。皮の内側を確認すると立派なウンコが残されていたという。カボチャの皮を便座にしていったらしい。理由はわからないとのこと。こんな感じだろう↓

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南瓜糞(図1)

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南瓜糞(図2)

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南瓜糞(図3)

※猿のこだわり:猿は綺麗なところにしか糞をしないらしく、綺麗な橋の欄干なんかに糞をして綺麗だった場所をとてつもなく汚すらしい。

 

 

こんなトリッキーな獣害が発生する理由は、山中の食料不足にある。

本来、果樹を実らせる木があった場所に杉を植林したため、山では食料不足の状態が続き、動物たちも仕方なく人間の領域に降りてくるらしい。だったら杉を伐採して売って、別の樹木を植えればいいんじゃないかと思うがその為には膨大なお金と、木々が育つ為の時間がかかるから100年計画で取り組むことになるはず。

■参考

杉の木の切り賃8,000円 売価:500円

京都府福知山市猪野々集落調べ

京都府福知山市猪野々に行ったときの記事▼ 

genkaishuraku.hatenablog.com

 

動物たちは生き残るために仕方なくやっていること(向こうからしたらヒトが銃を担いでやってくるもんだから命がけ)が、結果的に獣害になっているだけなので人間の自業自得だったりする。

 

ヒトはヒトで生活を豊かにするために植林したのがまさかこんなことになるとは...といった感じだろう。動物とヒトとが逆WinWin状態になっていて切ない。