限界集落の旅-民泊がインターネットに勝った?話と地域おこし-
最近、滋賀県長浜市湖北の民泊『キシダハウス』のオーナーと話したときに良いなーと思った部分をメモ。コロナ禍でも色々取り組んでおられた。
▼キシダハウスに宿泊したときの記事▼
※限界集落旅で訪れたが、滋賀県長浜市湖北は限界集落ではない。
観光でこの地に来たシンガポール人曰く『ここには禅がある。最高にクールさ』。
コロナウイルスの影響で客足が遠のき、滋賀県長浜市湖北の民泊『キシダハウス』も苦しい状況ではないかと思ったが、オーナーはそんなことは意に介さず、長浜市の動きに合わせて前向きな取り組みを進めていた。
湖北長浜市の取り組み
【市民みんなが長浜観光大使】
■市内対象施設を利用する人にクーポンを支給。
・宿泊料金:5000円割引
・飲食料金:3000円割引
・観光施設:1000円分のクーポン
■期間:2020年7月1日~8月31日(食事、観光施設のクーポンは9月30日まで利用可能)
・長浜市民が市外に住んでいる友人を連れてきた場合にも、柔軟に対応してもらえるとのこと。
キシダハウスオーナーの取り組み
【じもともん結成】
飲食店、民泊、地域おこし協力隊で湖北を盛り上げる『じもともん』を結成。
長浜市内の横の繋がりを強化して地元の良いものを長浜市民、市民以外問わず広める。
※じもともん:地元の人(者)、物を表す滋賀県の言葉。
■じもともんメンバー紹介
・「ライダースハウス日本何周」(西浅井町)
琵琶湖の風情が突き抜けている民泊。キシダハウスオーナーも嫉妬してるとか。
・「十割蕎麦坊主bar一休」(高月町)
昼は蕎麦屋、夜はバー。お坊さんのポップな説法で心を浄化してもらえるかも。
・「地域おこし協力隊」(西浅井町在住)
・「kishidaHouse」(湖北町)
コミュ力お化けのオーナーとガールズトークも楽しめるスーパーホスト認定民泊。
【目標、活動内容】
『横の繋がり広げていきたい』
『湖北をもっと知りたい』
『湖北の生産者と繋がりたい』
湖北の生産者との繋がりを強化し地元の魅力を多くの人に広める。
湖北産の食べ物を「故郷納税」から流通させる。
【食べ物リスト(2020年6月現在)】
長浜市のどんな『じもともん』をフォーカスするかはメンバーの審査で決められる。
・湖北産コシヒカリ(現在2つの農家さんのお米が決まっている)
・湖北の山、湖、土の恵みをふんだんに含んだ佃煮2品
・赤カブの漬物他
・酵素シロップや蜂蜜
実店舗での販売も行う(現在、販売店1店舗決定)。
勿体ないことに長浜市には地元の人達すらも知らない『歴史』や『良いもの』がある。
一方で、長浜市の持つ『価値』に既に気づいて、発掘し、紡ぎ続けている人達もいる。
この人達が上手く繋がれば、長浜市のポテンシャルを最大限発揮できるのではないか?
という地元の魅力を信じ切ったチームである。
たまに過疎集落の居酒屋で遅めの夕飯を食べていると酔った村人が集落の行く末をぼやいていたり、「ポテンシャルはあっても魅力はない」と分析的に語る人もいるため、地元の魅力を信じ切って、周りを巻き込み、横の繋がりを大きくしながら活動範囲を広める「思いの強さ」は貴重で大事である。
『思いの強さ』というとフワっとしているけれど、かつて僕が某過疎集落の、めちゃくちゃ思いが強くて活動的なお爺ちゃんから聞いた「若ぇ頃、村のためにやった活動」が「え、それは犯罪ではないですか?」と言いたくなる様な内容だったときに(こちらはもう話を流すことしかできなかった)、善悪はどうあれ何をするにしても、結局のところ原動力になるのは活動に取り組む人達の『異様な思いの強さ』なんだろうなと思えたから大事だと思っている。周りを気にせず自分を信じて突き進む。500万回は聞いた少年漫画のような思想を地で行える人。キシダハウスのオーナーはそういう人で、企画が難航しそうなときも仲間たちと都度修正を加えて仲間を増やして進んでいくと思われる。
長浜市で『じもともん』日々新連中である。
民泊オーナーがインターネットに勝った?
余談で横の繋がりや思いが形になった身近な例として、
キシダハウスに宿泊したカップルが『焚火をしたい』と言ったことがあった。あいにく焚火の燃料になる木材はその場に無かったのだが、オーナーが角材を余している知り合いに連絡し、あっさり角材を調達。カップルはオシャレな焚火を楽しむことができましたとさ。めでたし。めでたし。
焚火の環境を即座に整えるなんて、かなり男前な対応やなと思って、
「Amazonとか楽天でも燃料を注文したら翌日まで待たなアカンのに近所に相談して秒で調達するとか、ネットに勝ってますやん」と言ってしまった。
別にインターネットと勝負する必要は、全く無いのに。
そして配達速度だってアスクルで発注して今日来るくらい早いから、明日まで待たなくていい場合もあるのに。
そもそも人生勝ち負けじゃないのに。
ただ、多分これから配送技術がドンドン発達して、どんな場所に住んでいても短時間でドローン等が届けてくれるようになったときに『超、便利だなー』と感動するのとは別に『この質素な環境でこんなことができるのかー』という侘び寂びのから生まれる喜びに値打ちがあるのではないかということを表現したかった。
『じもともん』の活動で長浜市の横の繋がりを強くなり『琵琶湖しか見どころが無い。でも、雰囲気は最高』という場所にも今後、新しい魅力が発見されるかもしれない。
かつて長浜市を訪れたシンガポール人が言った『ここには禅がある』という言葉は多分本当で、そのうち長浜市に千利休みたいな侘び寂びの趣ある人が増えるかもしれない。
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