限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-群馬県で牛乳配達をする-

2019年の3月頃「ちょっと手伝ってくれ」といわれて、牛乳配達員になった。

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乳製品の受け箱

 

というのも、僕に限界集落巡りを命じた牛乳配達会社社長の群馬支店で配達員が足りなくなったため、ちょうどいいから、当時20歳の社長の息子と一緒に群馬県に行ってくれと命じられたのだった。

 

え?と思ったけれども「僕みたいなものでよければ」と二つ返事で了承し、一週間後には群馬県に移り住んだ。どれくらいの期間、牛乳配達をすればいいかは未定で1か月とも2か月とも無期限ともいわれていた。

 

やってみたらこの仕事が僕にぴったりと合っていて、のめり込んだ!

 

…ということはなく地獄が待っていた。

 

僕は毎日のようにミスをした。
もちろん会社に嫌がらせをするためにミスをしているのではないが、どれだけ注意をしても何かしらミスをしてしまうのだった。一つのミスが別のミスを引き寄て、シナジーを生み、新たなミスの発生させる。良かれと思ってやったことも全て裏目に出て、何をやっても駄目だった。

 
僕は綱渡りをするかのように慎重に、一歩も足を踏み外さず、正確にミスをし続けた結果『針の筵』が完成した。

 

お客さんにも仕事先にも迷惑をかけて申し訳なかった。
毎日、罪悪感にさいなまれながら働いて、ミスをしなくなるまで数か月程かかった。

配達の際には色々と気を付けることがあった。

 

牛乳配達のポイント一部抜粋


■お客さんに商品を受け取ってもらう


牛乳配達屋はお客さんの家毎に置かれた受け箱に商品を入れる。

ここで大事なのは『商品を入れて終わり』ではなく『お客さんが受け箱から商品を取るまでが配達員の仕事』だということである。

例えばその次の週に受け箱の中に手つかずの商品が残っていたら、その旨をお客さんに伝えないといけない。そして取り忘れの商品は品質管理上持ち帰ることや、代金は一週間分負担してもらうことを了承してもらい、今後は取り忘れの無いように受け箱の位置を調整するなどのアフターフォローもしなければいけない。その際に『今後も取り忘れるかもしれないからもう止めるね』と言われかねない。
商品の取り忘れは解約に繋がるのである。
だから必ず商品は受け取ってもらわないといけない。
商品を間違いなく回収してもらえるのも牛乳配達屋の腕なのである。

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乳製品

 

■お客さんとのコミュニケーション


牛乳配達屋には夜中に配達をしているところもあれば、朝から昼にかけて配達しているところもある。朝から昼に配達していると、お客さんと顔を合わせる機会がある。その際になるべく『商品は美味しく飲めているか、最近の体調はどうか、何か変わったことはないか』などを聞いて、現状の商品に満足しているか把握しておく必要がある。

例えば飲むヨーグルトを注文しているお客さんの場合、夏場は問題なく飲めていたが冬場は寒くて飲めないから止めたいと言われることがある。そのときには『食べるタイプのヨーグルト』等を提案して、お客さんの体に無理なく、飽きないように。続けてもらえるように工夫をする。
何しろ薬ではなく健康的な商品を扱っているのだから、やめるとせっかく改善された体質が元に戻ってしまう。それでは勿体ない。
 

■文字は大きく、声はゆっくりと大きく


宅配牛乳を申し込んでいるお客さんはシニアの方が多い。お客さんに何かを伝える場合には大きな声でゆっくりと話す。また、メモの書置きで何か伝える場合には大きな文字で書く必要がある。

 

他にも多々あると思うが、大事なのは『配達とは商品を届けて終わりではない』ということであるようだ。

 

『場所に届けるんじゃない。人に届けるんだ。』

というクロネコヤマトのCMコピーは正しかった。

 

奥が深く難しいところもあるが、配達業希望でお客さんとコミュニケーションをとりたい人には最高の仕事である。

 

牛乳配達をしながらも、群馬県限界集落旅も続けていた。
これがまた旅をした次の日に牛乳配達でミスをすることが多かった…。
この頃、心がへし折れかけていたが、それはまた別の話。

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