限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-東京都西多摩郡檜原村で標高600メートルにあるスナックに行った-

東京西多摩郡檜原村には『檜原烏骨鶏ラーメン』という名物がある。

「檜原烏骨鶏ってなんですか」と村の人に質問したところ、

「実はまだ食べたことがないんだ」と答えが返ってきた。

村おこしのために作られたものの、販売期間が短すぎたり、作って間もなさ過ぎて浸透していなかったりで、村の人が食べたことない名物もあるらしい。

東京都西多摩郡檜原村の人から、あの名物はロングセラーだとか、この名物はちょっとムチャだったとか、村おこしの試行錯誤を聞いているうちに、以前、檜原村を散策しているときに見た『檜原烏骨鶏ラーメン』と書かれた旗をが気になり、それでいて、どこで見たのか思い出せないから村の人に質問してみたが、その人は食べたことがなかった。

 

一体どんな幻の名物なのだろうと、妄想ばかりが膨らみつつ、また村を散策した。

そんなことをしているうちに、昼はうどん屋、夜は居酒屋の手打ちうどん はたの』で村の若い衆(30代)から、檜原村『小岩』という集落には村唯一のスナックがある、と聞き行ってみることにした。

 

村の人曰く桧原村『橘橋』の信号の辺りを境に南北のエリアに分かれているという。『小岩』へは『橘橋』の信号を右折して205号線を北の方角に道なりに進む。

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檜原村地図(『小岩』へは橘橋の信号を33号線から205号線へ右折)

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小岩バス停

『スナック花水』

19時前に小岩に到着してしばらく周辺をウロウロしながらスナックを探した。

『スナック花水』の看板『檜原烏骨鶏ラーメン』の旗を見つけ、ここで檜原烏骨鶏ラーメンを見たのか、奇遇だなと思った。早速突入しようとしたが、まだ営業中でないらしい。営業時間を待ちながら周辺を観光した。

 

桧原村にはいくつもの滝がある村として知られている。小岩には『花水の滝』がある。あまり目立たない所にあるため現地の人に道を聞いた方がわかりやすい(僕はたまたま家の外にいたおじさんに聞いた)。小岩のバス停から下りて徒歩2分らしいが、実際にはもう少しかかると思う。

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花水の滝への道

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花水の滝までの道のり


滝までの道中、結構、険しいからまぁまぁ汗をかく。地面が木の葉と腐葉土でふかふかしているから膝への負担は少なく、筋肉が付きそうである。

『花水の滝』は高さ36メートル。滝壺が無く、バシャバシャと流れ落ちる派手さは無いが壁面をなでるように静かに落ちる水と、ひんやりした空気でもってここだけゆっくりとした時間が流れているような趣があった(滝の写真なくてスミマセン)

 

時間も程よく経過して19時を過ぎ。改めて『スナック花水』に向かった。

扉を開けるとカウンター席に男性が一人、テーブル席に2名の人が座っていた。

「なんだい飯食いに来たのかい?」

テーブル席の男性に声をかけられた。

「檜原烏骨鶏が気になって食べに来ました」

と答えると、まあこっちきて座りな、とカウンター席に導かれた。

この男性は日焼けした屈強な体にやや強面の面持ちで、男気が足を生やして歩いているような雰囲気と、でも、確実に気さくで、ちょっとフェミニストなところがありそうな『頼れるアニキ』のオーラを纏った人だった。

 

アニキはママさんに、ラーメン出してあげて、と言ってくれた。

檜原烏骨鶏ラーメンには醤油味塩味の2種類ある。

「男なら醤油だな。なんでだか、女は塩だけど」

アニキおすすめの醤油味を頂くことにした。

 

『スナック花水』は標高600メートルにある村唯一のスナックで、カラオケ付きの居心地のいいお店である。かつてこの店を取材した〇袋筋太郎さんとテレビクルーがロケ終了後に完全なプライベート呑みをしたくらい、もうちょっと居たくなる雰囲気がある。

これから何度かこの店に通うことになるのだが、いつ行っても村の人が気さくに話ができるのが凄い。よそ者に排他的でなく、(酒の勢いもあってか)開けっ広げなトークができるところは何となく大阪人の雰囲気に近いように感じる。

 

檜原烏骨鶏ラーメン(醤油味)が出てきた。

出汁も麺もウマイ

山の中の集落でこのスナックを訪れたら毎回、旅の締めと、疲れをとるために食べたくなる、活力に満ちた、それでいて優しい味のラーメンだった(記事を書きながら思い出したらラーメンが食べたくなってきたのでファミリーマートのコク旨中華そばに、たった今お湯を注いだ)

 

 

アニキ(50)とたわいもない話をした。

そしてアニキは帰り際にさりげなく僕のラーメンと酒代まで支払って退店しようとしたから僕は慌てて、ちょっと待ってください払いますよ、と言うと。

 

「男には男気が必要なんだよ。たとえ借金してでも必要なときがあるんだよ」

アニキはそういって去ろうとした。カッコよかった。

あまりにカッコよかったから、アニキのための花道を作らなければいけないと思い、(お礼に)店の扉ぐらい開けさせてください、と言った。

 

するとアニキは

「いいんだよ。そんなん。『ご馳走様』ってだけでいいんだよ。その代わり君が金持ってるときには後輩に今とおんなじように奢ってやりな。そういうのは回り回って自分に返ってくるんだ。そういうもんなんだ」

僕は変な遠慮をしがちな性格をしているため、この言葉はいつでも思い出せるようにするべきだと思い胸に刻んだ。多分、奢る以外にも色んな男気があるんだろう。それらを学んでいくのも人生なんだろう。

 

「ご馳走様でした」

といってアニキを見送った。

 

東京の桧原村にはこんなアニキがいる。

 

アニキを見送った後もお店にいた村の人やママさんたちと『青汁チューハイ』を飲みながら雑談した(お酒の席なのであまり書けないようなきわどい話もあったような気がする。あんまり覚えてないけど)。泥酔したため(写真がほぼ無いのもそのため)車中泊をしようかと思ったら、見かねた村の人が家に泊めてくれた。なんだか優しすぎる集落だった。

 

次回:北海道の限界集落へ向かう

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