限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅先で『この世は仮想現実じゃないか?』と思う瞬間

限界集落『自分の人生論』を聞かせてくれる話好きの知恵者を探すときには、集落内を歩いている人に声をかけて教えてもらっている。役所で『村の知恵者』の居場所を聞くと『プライバシーを公表できない』のと『役所が〇〇さん(知恵者)を紹介した。△△さん(集落の最年長者)をさしおいて…』といった批判が出る恐れがあるため、対応できかねる場合がほとんどなので(でも、なぜか時々、対応してくれるところもある)道行く人に聞いた方が早いのである。

 

通行人や自治会長さん、ご住職などから話を伺い、数珠繋ぎで人脈を作るため、行ったことない土地で聞き込みをしていると、RPGでもプレイしているような気持になる。『コマンド』『はしかける』を選択して(今時、こんなファミコンドラクエみたいなシステムじゃないんだろうけど…)少しずつ村の内情を知っていく。ただ、ゲームと違うのは、聞き込みをしていると『疲れる』のである。HPなのかMPなのか、どのステータスが削れていってるのかわからないけど、なんだかぐったりし始めて、無理をすると『毒』に侵されたように体力が減ってくる。僕はアトピー性皮膚炎なのでステータスを見ると、よくアトピー状態になっているのだが、ときどき何の意味もなく、前触れもなく下痢が出たりする。オナラだと思って、プッとだしたら、そうじゃなかったパターンである。そういうときはパンツを捨てて撤退する(話を聞かせてもらう予定があったときだったからノーパンで、へぇ、ほぉー、などとお話を拝聴した)

 

そんな地味な活動を続けていくと、ときどきフリーパス的なものが手に入ったりする。

たまたま、ひと休みしに入った集落内の飲食店のカウンターで「お客さん、観光?」『人の人生論を聞いて旅してて、この集落の〇〇さんを探しているんです』という会話から突然イベント発生。

店の人「あぁ、その人ならなぁ…電話する?電話番号がxxx-xxxx-xxxxで…」

僕『いや、初対面の人に教えて大丈夫なんですか?』

店の人「〇〇さんのフルネームを知ってるなら、大丈夫。他にも知りたい人の電話番号があったら言ってくれ」

 

『村中の連絡先を手に入れた』

(頭の中では “ やったね!” と祝福せんばかりに荘厳なオーケストラが流れている)

 

集落内のセキュリティーの寛容さにびっくりするが(役所はあんなに厳しかったのに…)、これは、ゲーム内の段取りを順番にクリアしたらこそ発生したイベントなのだろう。

【この場合のイベント発生条件】

・『〇〇さん』の名前を聞いておく。

・集落内で指定の飲食店に入る(定休日を除く)

・店主との会話する。

『話を受け流しますか? “はい” “いいえ”』という選択肢がでたら『いいえ』を選ぶ。

 

いきなり飲食店に入ってもイベントは発生せず、『〇〇さん』の名前を入手して『信頼度』的な数値を上げてからでないといけないように、システムが組まれている。それに攻略本ナシで気づけて、この集落の攻略ポイントを見つけたことが、たまらなくカタルシスである。

そして、〇〇さんと連絡をとり、話を伺ってからまたこの飲食店に行く。

僕は『数日経ってるから忘れられてるだろうな~』と思いながら店の人に話しかける。

すると…

 

 

店の人「〇〇さんから話は聞けた?」

 

覚えていてくれた!

イベント発生後、ちゃんと店の人のセリフが変化している。

何かアイテムが手に入るわけでもステータス異常アトピーが治るわけでもないけど、嬉しい。プレイヤーの操作できちんとゲーム内の時間が進み、現実とゲームが繋がっているような感覚(そもそもこの世が現実世界なのですが…

存在しないはずのものが、どこかで実在してると感じられる微かな喜び。

嬉しいです。

 

嬉しいと同時に少し違和感。

旅先での出来事が名作ゲームのようにきれいな展開であるほどに、村人の優しさに喜び、ひとしきり楽しんだ後、バグってグシャグシャに乱れたドット絵のような不気味さが遅れてやってきて「僕は大丈夫な世界に生きてますよね?」と不安になる。

本来、予測できないはずの現実に生きているのだから当たり前なんだけれども、実はこの世は仮想現実かもしれない、とも思う。