限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅 - 徳島県美馬郡つるぎ町編(1)奇跡の水質の温泉に入る -

前回までの続き:鳥取県智頭町板井原集落で物思いにふけった。2018年の3月頃、次の目的地は徳島県美馬郡つるぎ町に決めた。

 

▼前回の記事▼

genkaishuraku.hatenablog.com

▼目次▼

 

つるぎ山系について

今回の旅先は徳島県美馬郡にある『つるぎ町』という集落。

つるぎ山系の周辺に位置するこの地域は古くから日本の根幹を担う産業や農業に従事していた。しかし、高齢化や少子化などでこの地域に住む若者であってもつるぎ山系の歴史的背景を知る人は減っている。

 

徳島県美馬郡つるぎ町

この地域では400年ほど前から山の傾斜にそのまま畑を作っており、この特殊な農法は世界農業遺産に認定されている。標高1000mの傾斜に食い込むようにな畑と民家がつくりあげる景勝は国内外に知られている。また、1000年前から根付く自然崇拝も特徴である。思わず手を合わせてしまいたくなる巨樹や緑色片岩から湧き出る日本最高レベルの湧水、澄み渡る碧(みどり)色の川も特長である。

※『緑』というより『碧』に近い色をしている。

 

阿波忌部(あわいんべ)の地

徳島県(阿波)は古代朝廷の祭祀を担当していた忌部氏に奉仕した集団『阿波忌部(あわいんべ)』の末裔が今も生きる地である。阿波忌部には『あらたえ』と呼ばれる麻の織物をつくる役割がある。この『あらたえ』は天皇が即位して最初に行われる『新嘗祭(にいなめさい:五穀豊穣の儀式)』である『大嘗祭(だいじょうさい)』で使用される市死に装束である。天皇大嘗祭のときに『あらたえ』を着て眠り形式上、死ぬことで、目覚めたときに新天皇として新しい人生を始めるのだ。

『あらたえ』は阿波忌部の末裔『三木家』のみがあつらえるこ織物であり、次回の大嘗祭では子孫のがあつらえた物が献上される予定であるが、高齢化と過疎化で阿波忌部の血筋は途絶えないか心配である。

他にも阿波には日本最古の前方後円墳があったり、日本一美しい水質(※1.三波川変成帯の上に位置する。水道水が化粧水並みに肌に良い)の水を使って育てられる農作物は現在でも関西で流通する農作物の6割をまかなっていることからも日本の食の中核を担う地域だといえる。徳島県は神話に登場する食の神『オオゲツヒメ』の地であり、「阿波」は「粟」 からきているともいわれる。土地の名前からして農作物にゆかりがある。

 

トリビア

三波川変成帯の上には伊勢神宮がある。元々伊勢神宮は京都の宮津市にあった籠神社(このじんじゃ:現存)式年遷宮のたびに少しずつ移動して現在の三重県に落ち着いたとのこと。あえてきれいな水脈の上に神聖な場所を移したと、言われているとかいないとか。

 

徳島県つるぎ町に到着

 徳島県つるぎ町に向かって京都を出発。 高速道路上で給油ランプが点灯し、非常に焦る。すぐに高速道路を降りて5kmほど離れたGSにて給油。多少迷いながらも到着。18時頃までつるぎ町を散策する。まだ明るかったが夕食の時間なのか、あまり人は出歩いていなかった。

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高速道路でガス欠

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2018年の初桜

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碧色の川

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さりげない湧水

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味のあるスプライト

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年季のある民家

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階段のある風景

奇跡の水質『岩戸温泉』(僕にとって)

現地の人と交流するため温泉宿「岩戸温泉」で入浴。 浴室は約5メートル四方の湯船一つとサウナ、水風呂というシンプルな造り。温泉の割には薬用成分の香りはほとんどなく体に負担がかからない印象。湯上りの印象が良くアトピー体質の僕が入浴後に軟膏を塗らなくても症状の悪化がなかった。近所にこの温泉があればいいのにと思った。

 ▼岩戸温泉▼

www.awanavi.jp

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岩戸温泉

温泉での格言

温泉には住人の方が2人入っておられた。2人のうちの白髪のお爺さんに話しかけようと決めて、寛ぎの時間を邪魔しないように気を付けながら、たまたまサウナで一緒になったときに話しかけましたというていで、熱いっすね、などと話しかけた。自らサウナに入っておきながら熱いって何やねんと思う。

 

「働いてるのが楽しいな、極道になるにはまだ早い」

お話を伺うと白髪のお爺さんは農家の方で72歳だという。年齢の割にかなりがっしりとした体格をしている。僕の旅の経緯を話すとこのあ辺りの知識人を教えてくれた。

「この先にある橋を渡って左に行くと地蔵寺という寺がある。そこの住職なら色々話してくれる」

サウナを出ると新たに40代くらいの集落の人が2名入ってきていた。先ほどの白髪のお爺さんが40代くらいの人と雑談しながら、働いてるのが楽しいな、極道になるにはまだはやい、と言っていた。労働で鍛え上げられているだけあって心身ともに生き生きしている。男の生き様は顔に出るといわれることがあるが、体にも出るのだろう。

「稼ぎが少なかったら時間で勝負じゃ、って」

「昔の人は偉いな。根性が違うわ」

と、こぼす40代。

こういう少年漫画みたいな姿勢はグッとくる。

 

温泉施設には食堂もあり宿泊もできる。

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親子丼(リピートしたい味)

温泉施設を出ると、外の温度計には『4℃』と表示されていた。

これからホンダのアクティで車中泊をするのだけれども果たして寝られるのだろうか。

 

次回:初車中泊からの地蔵寺訪問でありがたいお話を拝聴する。

 

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