限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-東京都西多摩区檜原村の居酒屋さんにて(いい意味で)絡まれた話-

東京都の村『檜原村』の『人里(へんぼり)』集落でいろんな人生の先輩方に勝手にインタビューをして人生論や格言を聞いて回っていた。

 

▼前回は隙あらばオヤジギャグを挟み込んでくる宮大工さんにお話を伺った▼

genkaishuraku.hatenablog.com

 

人里のゲストハウス『へんぼり堂』に寝泊まりしながら、檜原村をぶらぶらして話を聴き歩いた。ちなみに『へんぼり堂』の様子はこんな感じである。

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『へんぼり堂』室内

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『へんぼり堂』室内

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『へんぼり堂』室内



▼へんぼり堂▼

henborido.net

 

集落をブラブラしながら畑仕事中の68歳男性と70歳男性に人生論を伺ってるうちに暗くなってしまった。今日は村から家に帰ろうと思い、最後に村で夕食を取ることにした。

明かりがついているうどん屋さんに入ると、深く目の座った男が僕をまっすぐ見つめて

開口一番。

「なんだぁ、オメェはぁ?」

村以外の人が入店するにはめずらしい時間帯だったらしく、すでに奈良漬け程に出来上がった男に、入店2秒で絡まれた。しかし、絡まれたからと言って決して嫌な気持ちにならなかったのはこの男の持つ品格のなせる業だろう。

 

旅をしながら色んな集落の人生の先輩達から人生の格言を集めている、といった。

「なぁにぃ?良いことしてんじゃぁ、ねえか!だったら俺をインタビューしやがれ!」

回らない呂律を右にも左にも回して、俺はこういう縁が大好きなんだよ!、と言われながらインタビューを要求された。こっちが頼むことはあっても、頼まれることはあまりないから、これは面白いと思って、色々聞かせてもらうことにした。

 

この日は、たまたま村の人たちの寄り合いがあって、村の各自治会が集まっていた。

なにぶん皆、酔っ払っているため、かなり話が怪しいが、人間の素の部分が垣間見える熱い言葉が聴けた。

 

【60近い酔っ払いの人生論】

「人間てぇのは精子卵子が結びついた何億分の一かの奇跡なわけだろ?
あの人にも、この人にも与えられた使命がある。自分がなんのために生きてるかなんてわかるわけないけど、自分が奇跡の存在であることを自覚して生きれば人は変わる。
自覚すれば後は理屈じゃない」

-そうですか?-

「考え方が変われば運気がグンと上がる。これは理屈じゃなく経験だ」

 

-大事にされている考えはありますか?-

「人生で大切な言葉が5つある。
うれしい。
楽しい。
感謝します。
ありがとう。
あと1つなんだっけ?
忘れちゃったけど、この5つを常に心にとめて生活していれば不安、悩み、何もなくなる」
あと1個が知りたいけれども、いかんせんアルコールが邪魔をして記憶の引き出しの取っ手がぶっ壊れたらしい。「感謝とありがとう」も似たよなことだな…と呟いていたから酔いながらも結構、冷静だったみたいだ。

 

-人生観を教えてください-

「人生には命が3つある。
・運命(運ぶ命)…自分次第で変えられる命。
・宿命(宿る命)…自分自信のこと。与えられた変えられない命。
・使命(使われる命)…世のため人のため、自分を使ってくださいと思う謙虚な命。
この3つを上手く使えば人生バラ色。
何をやるにもやらせていただきますって気持ちでいることだな」

 

-人間関係を作るための考え方を教えてください-

「"あいつが悪い"っていうのは言い訳だな。人間は自分を正当化しようとする性分があって、それが真実を曇らせる。俺は"真実はなんだろな?"って考えるね。何か原因はあるから」

 

「宇宙はビッグバンで生まれてそれで星が生まれて俺たちみたいなのができたってのが定説だろ?だったら俺たち初めは1つのチリから生まれた兄弟なわけだ。だったら争う必要ないだろ?
一緒に楽しもうよ。生きようよ。生きるしかねぇぜ、与えられた人生を」
何の疑いもなく、生き生きとこうした人生観を語るオヤジさん。きっとアルコールによってオヤジさんの精神は日々の重圧から解き放たれ、最も無垢な状態に戻り、肉体は形を捨て、精神は粒子状に分散し宇宙と繋がり、原始に還っていったのだろう。多分、一番、こうであってほしいとオヤジさんが願う世界を語っているせいか、聴いてるこちらまでグッとくるものがあった。

 

-お金について-

「人間、持てる金額のキャパは決まっている。これを超えると不幸になる。5万のキャパしかない人 が15万入ってきて10万定期預金にしようなんていうのはよくない。12万くらい世のために使って、 キャパを少し開けとかないと金が入ってこなくなる」

 

このいぶし銀の酔っ払いオヤジ(敬意を込めてあえてオヤジと呼びます)はこう語る。

「こんなこと、普段なら言わねぇよ?バカにされるモン。宗教の勧誘ですか?って」

こんなレアな話が聴けるのがお酒のi良いところなのかもしれない。

 

後日談:シラフの状態のこのオヤジさんに村の中ですれ違った。僕のことを覚えていてくださっていて、僕が『オヤジさんあの時、宇宙の話してましたよ』というと、照れくさそうに、そうなの?俺凄いね、と答えるシャイな人だった。こういう出会いがあるから村の居酒屋は面白い。僕もこういう縁が好きです。

 

次回:檜原村の居酒屋さんで絡まれた話-その2-

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