限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-千早赤阪村編 元校長先生に教育の何たるかを聞く-

前回までの続き:僕は千早赤阪村の二河原邊集落で地元歌手『ツルビル』による高齢者へのクリスマスライブに参加した。今回は千早赤阪村をちょっとぶらついたときに地元中学校の元校長先生から教育の何たるかを聴いた話。

 

▼前回の続き▼

genkaishuraku.hatenablog.com

 

▼目次▼ 

 

葛藤

千早赤阪村の水分という地域をうろうろしていると畑で農作業しているご夫婦を見かけた。

声をかけるか迷って一回、畑を通り過ぎてしばらく歩き続けたところ、あるお宅のガレージで車を洗っている全く知らんおじさんに「こんにちわー」と挨拶してもらった。

村の人から話しかけられてるのに自分からは話しかけんとは何事や!と思いご夫婦のいる畑まで引き返して話しかけた。

 

「こんにちわー」

『こんにちわぁ』

ファーストコンタクトに成功。

旅の目的をご夫婦に伝えて、ちょっとだけ話し相手になってもらえるか聞いた。

「畑作業しながらで良ければええよ」

許可が取れたところでご夫婦が今までどんな人生を送ってこられたか質問した。

 

するとご夫婦は2人とも元教師で、ご主人は千早赤阪村の中学校で校長先生をされていたことがわかった。

 

格言集

教育に関する格言

そこで子育てや教育に取り組むにあたって何が一番重要か聞いてみた。

 

「あれこれいじくり回すよりも、まず理解してあげること」<「理解」とは具体的にはどういうことですか?>

「あれこれいじくり回すよりも、まず理解してあげること」と校長先生は語る。

理解してあげるって具体的にどういうことですか。何年か前に通ったクリエイティブライティング講座(途中までしか通えなかった)で習った、インタビューを充実させるためのキーワード「具体的にはどういうことですか」を使ってみた。

するとご主人は、こんなんいうたら武勇伝みたいになってまうけど……と言いつつ、あるエピソードを聞かせていただいた。

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【実録】元校長と子供の「理解」の物語

『自分を理解してくれる人が1人でもいれば救われる。心は癒され素直になれる。自分で生きていく力に気づける』

 

「生きていく力」とは、人としてのルール常識打たれ強さのこと。

自分の本質を理解してくれている人がいれば不必要に尖って自分を主張しなくて済み、安心して世の中に適応できるとご主人は語る。

 

その他に教育に関する格言

「子供にとって親は、最初の環境」

親が和やかな環境であれば和やかな子供が育ちやすい。ギスギスしてるとギスギスした心に育ちやすい。だから夫婦喧嘩は子育てに大敵だとのこと。

「間違った愛情でも根っこは育つ」

かといってギスギスした環境だったとしても和やかな子供が育つ場合もあるし、その逆もある。「教育にこれがエエってのはない」と語る元校長。

親は子供の理解者となり子供自身が気づくようにするくらいしかできないようだ。

 

今の世の中について

「自制心を働かせないのは、生き残る術」

何をやっても無駄に思える世の環境は人類を進化させたのか、自制心を働かせないわけわからん人が増えるのは各社社会が人から生きる気力を奪っているからかもしれないと語る先生夫婦。不審者や動機なき犯罪もモンスターペアレントの対応も現代の環境に合わせた「生き残る術」というなら切ないやら、その犠牲になる人からしたらたまったもんじゃないような。罪を犯すくらいなら畑でもいじってたほうがいい。 

人との接し方

「何か、他人にできることなんてないんや、本人が立ち直らん限り」

ほとんどの病気を人間は事故治癒力で治す。精神の不調も同様に、悩みを抱えている人を簡単に助ける方法ないと元校長は語る。手を差し伸ばされて励まされるほどに劣等感に潰されてしまう。 ただよりそって理解者になるだけ。

ストレスを溜めない方法

「畑をしてたらストレスない」

「植物はもの言わず素直。思いを込めた分だけ育つ」

「雑草は抜いたら抜いたで気持ち良い」

「畑仕事は開放感につながる。自分の力を蓄えることができる」

やっぱり、罪を犯すくらいなら畑でもいじってたほうがいい。 

 

最後に

徐々に話は格言や武勇伝から世間話になっていき、いやぁ、この間からここに取材みたいに来てるんですけどたまたま地元の議員さんに会って、村カフェのクリスマスパーティに参加させてもらって…というと。

『あぁ、それ家の息子やわ』

そんなオチだった。

 

寒くなってきたのでお礼を言ってその日は帰った。

 

 次回:和歌山県東牟婁郡北山村へ行く

 

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