限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-栃木県日光市編『黒部温泉 元湯 四季の湯』入浴中の住宅営業マンに部下との接し方を聴いた-

2018年の4月に京都から東京に引っ越して限界集落の旅東日本編を始めた。

まずは栃木県日光市中三依という集落に向かった。

この当時住んでいた東京都の板橋区から出発して約2時間半。

 

【目次】

 

中三依散策

この日は中三依(なかみより)の周辺を車でうろうろ散策しながらどうやって集落の人に話しかけて、この地で得た知恵や経験を教えてもらうか考えていた。

 

中三依の集落には『男鹿の湯』という温泉やコーヒーが飲める『扇屋』という店があることがわかり、少し離れたところに『道の駅 湯西川 湯の郷』と『黒部温泉 元湯 四季の湯』をはじめ、多くの温泉があることもわかった。栃木県といえば『那須』『塩原』なんかに始まる有名な温泉地だけあって、入浴場所には困らない。中三依から車で30分も下ると南に川治の地域には温泉が密集している。そして、どの地域でも水質の良さはうちが一番と謳う。それでいいと思う。

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扇屋

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男鹿の湯

後に、現地の人からこの地には平家の落人伝説があるという話を聞くが、源平の合戦があった山口県の『壇ノ浦』から栃木県まで逃げ延びたのだから、いささか眉唾物。もし本当だとしたら平氏はなかなか根性のあるタフな人たちだったのだろう。

※壇ノ浦のある山口県から栃木県まで1000キロ以上あり、徒歩で220時間以上かかる。

あるいは途中で逃げるのが楽しくなってきてなんやかんやで栃木県まで来てしまったのかもしれない。悪ノリ好きな平氏たちが『戦にも負けたし、もう、このまま日本の端まで行こうで!』などと言いながら『行くぜ!東北』よろしく現実からの逃走とロマンを兼ね備えた企画を立ち上げ、『逃げるスリルがたまらんワ』などと言いながら約2週間。1人また1人と脱落していく平氏の落人たち。行くあての無い逃走と疲弊の果て、最後の数名が一言ポツリ。『もう、このへんでええんとちゃうか?』栃木県は悪ノリ終焉の地、山口県から栃木県までの移動距離は若い落人たちが青春をぶつけ、大人になるために必要だった距離だった。そう考えると、山口県から栃木県まで移動したと考えられなくもない。何せ、人力で戦をしていた人たちである。体力はすさまじいし、悪ノリもさぞ、アグレッシブだったろう。

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この距離を徒歩移動(グーグルマップより)

 

それはさておき、中三依から土呂部(どろぶ) という集落も見てみようと思い車で1時間程度の道を走った。地図で見たら近そうな場所だとしても、集落の間の移動は結構時間がかかる。中三依から121号線をくだり、途中で左折、23号線に乗りかえてひたすら真っすぐ進み出発から30分程度すると土呂部への道右手に『黒部温泉 元湯 四季の湯』はその道の途中にあった。土呂部集落を見てから入浴しようと思い土呂部へ向かう。

 

土呂部では全く人にすれ違わなかった。この集落で唯一の人との接触は、腰の曲がったお婆さんが豆粒くらいに見えるほど遠くからこっちを見ていて、僕もお婆さんを見返した程度だった。おそらく集落に無縁の人間がリュックを背負って何をするわけでもなく、うろうろしているのが珍しかったのだろう。土呂部では地域おこし協力隊の方が頑張ってこの地に伝わる商品をアレンジしたものが、好評とのこと(後日、新聞で読んだ知識で曖昧ですが…)

 

日も暮れてしまい『黒部温泉 元湯 四季の湯』に入ることにした。

 

黒部温泉 元湯 四季の湯

www.jalan.net

【営業時間】

8時~21時

【入浴料】

500円

【アメニティ】

備え付けの固形石鹸があったがシャンプーなどは無し(男湯のみ確認)

【風呂】

この時は、露天風呂にのみ入浴したが、内風呂が男女ともに1つ。

 

温泉施設の横にあるドライブインのおかみさんを呼び入浴料を渡す。おかみさんは若干塩対応でクールな印象。

2時間以上温泉に浸かると入浴料が割り増しになるそうで、僕は結局2時間以上入浴してしまったが特に追加料金は発生しなかった。設定ガバガバのシステムがとても愛らしい。お得感に加え、今回、見逃して貰った分、次は払おうと思ってしまう。

 

備え付けの固形石鹸で体を洗い(蛇口から温泉成分を含んだぬるい水がどばどば出てくる感じが非常に贅沢)、露天風呂に浸かる。泉質はすこぶる良く、少しでも温泉成分をたくさん体に吸収させようと思い、頑張って長風呂してしまった。これが後に悲劇を招くことになる。

 

露天風呂で出会った営業マンに話しかける

僕が、入浴してしばらくすると男性客が1人、入ってきた。

お互いしばし、無言で過ごしていたが、さっきお婆さんに話しかけなかった罪の呵責(?)から、せっかくの機会、話しかけてみようと思った。

 

「地元の方ですか?」

男性は栃木県宇都宮出身の四十代で住宅販売の営業をやっているとのこと。営業マンだけあって気さくな話し方で楽しかった。さすが営業マン。

 

営業マンの格言

 

「住宅が売れないと不安で眠れないことがあった。

でも、そのスリルがたまらない」

仕事中毒なジャンキー発言。

 

「住宅は売ろうとすると売れない」

まずはお客さんに話してもらい、現状の不満を聞き出した上で最良の家と、プラスワンの提案で『凄い!』ってなる。わかってもらえれば話は通じる。

そのため「売り方を教えることはできない」とのこと

 

「部下に怒ったことがない。何も解決しないし、相手は憎しみを感じるんじゃないかな」

感情は入れずに、相手が理解するまで説明する。それでもダメならあきらめるな、結局は本人の自覚次第、とのこと。

 

「ヒトには逃げ場が必要。自分は逃げないけどね」

聞き上手で人の気持ちを察する仕事中毒者の、優しさと男らしさの入り混じった言葉。

営業マン曰く、昔は2回遅刻したらクビだったけど今は何でもない。むしろカバーする。俺なら遅刻するくらいなら休むね。まぁ、それも30数年で1回だけだけどとのこと、一回だけ逃げ場を使ったらしい。

 

この人に色々話を聞かせてもらって楽しかったので、帰りしなに巣鴨で買ったせんべいを渡した。その代わりに僕は、営業マンからハンドタオルを貰い、別れた。

 

温泉の隣、ドライブインは既に営業終了。また今度、何か食べよう。

さて、車中泊して明日、また中三依を探る。

 

次回:栃木県日光市中三依集落で隠れキリシタンの痕跡を見つけた

 

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