限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-北海道小樽市-頭の中の『ワル一休さん』が捻り出したエッチなトンチの話-

AIを農業に活用している農家を訪ねた頃から、T氏(同居人)の仕事の手伝いが忙しくなり集落巡りができなくなってきた。

▼前回の記事▼

genkaishuraku.hatenablog.com

 

 

体力の限界

社宅に住ませてもらっているT氏の仕事の手伝いが忙しくなり、体力的にも精神的にも僕の限界だった(所詮はゆとり世代だからなのか)。戦争時代を生きたお爺ちゃんにお話を伺うと、たいてい尋常じゃない体力と精神力で乗り切っており、元気に仕事に取り組む秘訣なんか特に無いらしい。寝たら治るのだ。しいていうなら『皆、同じ状況だったから自分もそうしていた』という。現代に当てはめると『皆、残業しているから、自分も残業する』という考え方と近いから、日本は戦前も戦後もずっと同じ体質なのかもしれない。

 

T氏の仕事の手伝いとは飲食店(店名は伏せます)の厨房である。
ここでは料理長の指示通りにパン生地を捏ねたり、料理やスイーツの下ごしらえをしたり、営業中にサラダコーナーの野菜を品切れにしないよう見はったり、野菜を適量切ってストックを用意したり、野菜を茹でてホールの人にパスしたりしていた。
朝一番から、閉店まで働いていた。
今、この飲食店があるかどうかはわからない。調べもしない。

 

怪我をしまくる

当時、お店に人が足りずどうしても働き詰めにならざるを得なかった。
そして、色々やらないといけなかった分、僕は次々と失敗していた。

あるときは、もの凄くよく切れるけれどもの凄く使い勝手が悪いスライサーでジャガイモごと親指を切ったり。またあるときは不安定だった厨房の溝で盛大に転び右肘を強打。重い金属製のタッパーを右手に持っていたため、タッパーと床に挟まれて、右手の親指の付け根を切ってしまった(このとき多分、僕の肘は粉砕骨折していたと思われるがハンドパワーの使い手がたまたま店内にいて肘を治してくれたそうだった)

 

「津田さん大丈夫ですか?」
ホール担当の方に聞かれたが、肘を強打したタイミングでグラタンの注文が入っため

「私よりも早くグラタンを…お客様に!」
などという熱い展開になったが、それでも誤魔化せない程、肘は痛かった。

肘の痛みが脚にきて立てなかった。

 

また指の傷は妙に根深かった。

「縫ってもらえやぁ」という人もいたが、指先みたいに神経が集中している場所を縫えるわけがなくテーピングで傷を塞いだ。3日間くらい血が止まらなかった。イラついてしまった。僕を気遣っての「縫ってもらえやぁ」にも「指先なんか縫えるかボケぇ!」と思ったりしていた。
後に社宅に遊びに来た、T氏と僕の共通の友人に「なんや!指切ったっていうから、もっと派手に切ってるかと思たら傷小さいやん(笑)」と言われ、こいつ殺してやろうか(笑)と思った。

そんな小さな犠牲もあり、スライサーを使うときには軍手の2重着用が決まり、溝の修繕も行われた。手伝い兼人柱である。

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指を切って数日後、血が止まった。

 

なぜかパーティに呼ばれる

9月に入り、店の仕事忙しくなってきたとき、なぜかパーティに呼ばれた。
僕の知人(T氏や友人とは別)が独自のツテを通じて開催するパーティの準備に車が必要らしく、車と一緒にフェリーに乗って北海道入りしていた僕に声をかけたらしい。

 

スーパーで買い物をしている知人を車で拾い、パーティー会場となる別荘に向かった。この別荘は「本気で遊びに取り組まないと良い仕事ができない」という信念の基、遊びに遊びぬいたオーナーが人生の粋を集めて造った傑作であるらしい。室内には暖炉、バルコニーには露天風呂、入浴中に見える夕日の角度まで計算して建設してある。


別荘地ではオーナーと知人が仕事の話を交えて談笑していた。一通り話し終えた後、知人は僕に別荘を見せて、どうや?と言い僕は、このような場所に連れて来ていただきありがとうございます、と答えた。

陽が沈んだ頃、オーナーと知人とその連れ、僕と他1名の計5人でパーティーが始まった。夜が更けていきオーナーがオンナとは何ぞやという話をし始めた。

※オーナーは非常にチャーミングな紳士だった。

 

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夜の小樽の風景

■チャーミング紳士(60)オンナを語る

-女性に騙されたことはありませんか?-
紳士曰く、むしろオンナに騙されたいという。

「経験豊富な男を騙し切れるというのは相当レベルが高いオンナであるという証拠。騙しは高度なオトナの遊びなのさ」

だから俺は騙さないか?ってオンナに聞くよ。とのこと。

 

-女性に対しての気構え-

「女性には二礼二拝一勃起」

どういうことですか。
「右と左、裏と面。物事は必ず2つの側面がある。1つではバランスが取れない。自分の中にパラレルワールドを持たないといけない。それがないとストレスになる。だから二礼二拝一勃起」
まともな回答が返ってきた。女性をこの世の在り方になぞらえて説明されるとは思わなかった。女性は神様だから崇めるのは当然として、真逆の性的興奮を感ずることこそが女性への最大の敬意らしい。そうでないと自分、ひいては世の中のバランスが成り立たない。

 

-口説き方を教えてください-

「いきなり詰めるのもテクニック。いきなりキスしても怒らないよ。その気があればね」

 

-もう一声、ください-
「愛はするもの。恋は落ちるもの。俺と落ちてみないかい」
というと良いらしい。

 

『ワル一休の閃き』

-もう一声、ください-

「恋愛とは言葉遊びである」

紳士曰く、恋愛とは言葉遊びでもある。例えば『股』のことは『指と指の間』と表現する。なぜなら右足の親指と左足の親指の間は『股』である。だから色っぽいことを言うときには「少し指と指の間を触らせてくれないか」と表現すると上品だという。

『品のある下ネタ』というと和らいだ表現になるが、これは頭の中の『ワル一休和尚』をフル回転させて捻り出した、ただのエロいトンチである(実在の一休和尚もオンナ好きだったという説があるため、多分似たようなエロトンチをひねり出していただろう)

 

他にも「暗いといやらしくなる。うんといってしまう。いわないといけない雰囲気になる」とか「イエス、ノーがはっきり言える人は自分がハッキリしてるが世界がそれ以上広がらない。自分の知らない領域があることを理解し、受け入れられる人は広がる。ただ、すぐに判断ができない人間になるけどね」など紳士の人生哲学を聞いた。昼間に働いたからもう、眠たくなっていた。


僕は深夜3時位に社宅に帰り、翌朝10時くらいに知人を別荘から宿泊先へ送迎した。

そうこうしているうちに北海道胆振東部地震に被災することになった。

 

次回:北海道胆振東部地震に被災した

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