限界集落旅の名言

限界集落等の過疎地に住む人生の先輩方から「人生訓」を収集する旅

限界集落の旅-兵庫県篠山市編(2)後川(しつかわ)のおいしいドライブイン-

前回の続き:兵庫県篠山市で開催されたアートイベントで出会った、かわいい妖怪作品描いて20年の同人作家かなめみおさんから教えていただいた兵庫県の過疎集落である後川(しつかわ)を訪れることにした。

 

 

▼前回の記事▼

genkaishuraku.hatenablog.com

 

ペーパードライバーだけど車で過疎集落へ

今回はレンタカーで集落まで行くことにした。

電車とバスで後川までいけなくはないが、バスの時間という制約があるのは芳しくないと考えたからである。

 

しかしながら、僕は表題通りのペーパードライバーである。

普通自動車(AT)の免許を19歳のときに合宿で友達と一緒に取得して実家の車を3回程度運転した以来11年のベテランペーパードライバーとして完成されていた。

なんで3回の運転であきらめてしまったかというと時速50km以上出すのが怖かったからである。人を轢く、殺してしまうという恐怖が頭を離れなかった。

それ以来、自分は運転するべきじゃないと決めつけ、免許証を身分証代わりに贅沢に使っていた(その間、友達は父親のBMWだかアウディだかでさっそうと大学に乗り付けてメキメキと運転技術を身につけたらしい)。

 

しかしながらそんなペーパードライバーな僕とはいえ会社をクビになって時間ができてしまってからは父親に助手席に座って僕の運転を監修してもらいながら1年少し練習をした。

「手に職をつける」というほどでもないが、何かして自分に自信をつけたかったのだろう。懸命な練習もあって地元の吹田市内を出ないなら運転しても大丈夫な程度には運転技術が身に付いていた。

そんなこんなでドキドキしながら出発した。

 

後川に到着

グーグルマップのナビを頼りに、曲がりくねった山道をぎこちなく曲がり、道の脇にある溝に何度か脱輪しかけながら後川にたどり着いた。

現地は雨が降っていた。

誰も外を歩いていない。

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後川

ドライブイン後川への道

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お店に聞き込み

とりあえず車を降りてすぐのところにあった直売所で何かしら話しができないか試してみた。店内にいた女性店主とおぼしき人に話しかけた。

「あの...すいません。えー、私は色んな集落を巡って、そこに、住まう、えー人生の先輩がたから、色んなことを伺っていて...なんというか...(しばし沈黙)...それでこの辺でちょっと聞きたいことがありまして...」

 

奥歯にマリファナでも詰まっているかのようなたどたどしいしゃべり口調である。

自分が話しているときの相手のつかみようの無いポカンとした表情をみていると辛い、なんか申し訳ないと思い、余計にたどたどしくなってしまう。

 

店主は「具体的には何を?」と返してきた。

ここでようやく自分の旅の目的を話した。

すると「今日は雨降ってるからねー。晴れてたら皆外にでてるんだけど」

やはり雨は不運だったらしい。

しかし「この先にドライブイン後川っていうところがあって...あ、でも今日やってないかな...ちょっとわかんないけど、そこなら色々、話しが聞けるかも」と教えていただいた。

お礼を言い、早速ドライブイン後川に向かった。

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ドライブイン後川

 

ドライブイン後川でブルドーザーのような男と出会いうどんをすする

ドライブイン後川とは宿泊可能な飲食店である。

【概要】

一泊二食付き(季節の家庭料理)

6,800円(税抜)

駐車場10〜15台

2日前までにご予約をお願いします

アメニティーバスタオル/フェイスタオル/シャンプー/リンス/石けん/歯ブラシ

 

おそるおそる中に入ってみた。

すると収穫した黒豆を段ボールにつめている男性と3名の女性スタッフがいた。

入店したものの各々が黙々と作業しておりこちらへの反応は無い。

とりあえずなんか言わないと...と思って「ここ...今日はやってないんですか?」とだけなんとか聞くと女性スタッフの1人がこちらを向いた。

「ごめんなさいねー今日は雨でお客さんがこないからもう店じまいしたのよ」とのこと。なるほど雨天休業になる可能性があるらしい。

雨の中の来客、お邪魔かなと思いつつも旅の経緯を説明すると黒豆を段ボールにつめていた男性が「なんや、大変なことしてるなぁ。おい、うどんと飯くらいあるやろう。出してあげえさ」と言ってくださった。

 

邪見にされずに気持ちがゆるみ、ありがたいなーと思い、テーブルについた。

そしてうどんと御飯が用意される間に旅の経緯を話せた。

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うどんと御飯

うどんと御飯が届く。

「おお!なんやインタビューなら飯食いながら話そうや。堅苦しいことは苦手や!」

と快活な男性の言葉に促され御飯を一口ほおばる。

「...このご飯は旨い...」

思わずつぶやいた僕に、わかるか青年よ!とばかりに破顔する男性(ちなみにこの男性、集落の人からブルドーザーのような男だと呼ばれているそうだ)。

こうして御飯の旨味の秘密と人生の何たるかの話しが始まった。

 

次回:ブルドーザーみたいな男が人生を語る

 

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集落巡りのYOUTUBEもやってます。